こんにちはのじでんです。
最近詰めものが外れていらっしゃった患者さんがおります。
当院にとっては結構大事件でして・・
どのように大事件かというと、野地デンタルクリニックが開院して17年目にして
自由診療の修復物の脱離第1号の症例なのです。
セット後約10年くらいのものです。
前回のブログで取り上げた左右偏在の症例で47の比較的長い遊離端
尚且つ義歯の支台で、高カリエスリスクというかなりシビアなケースに3/4冠にピンを施して補綴しました。
昨今のメタルフリーは、ジルコニアやプレスタイプのセラミクスなどでほぼ修復の主流となりつつある様におもいます。
ですが、この方の様に基礎疾患があってインプラント埋入をためらうご高齢の方で義歯の支台ともなるとセラミックで
耐えられる訳もなく今だにメタルを使わざるを得ない状況は続くことでしょう。
その為今後も一定数(あるいは高齢化にともなって増加?)の需要は有るものとおもっています。
脱離部位をよく観察すると、被着面が金属のため、カリエスで汚染した部位以外は支台側にセメントが付着している。
10年前のセット時にはこのような形成をしておりました。
上の写真を見ると、金属面には接着材が接着しない事を、考えなければ成らない様におもいます。
4-META系のスーパーボンドでの接着を期待してセットした訳で、メタルフリーの材質でもジルコニアはこの状況に近い感じになることでしょう。
被着面に接着しないなら、極端な話メタルもジルコニアもエリートセメントでよいと言う事になります。
透過するタイプの修復物であれば、色合いは問題になるものの・・・。
あとメタルほどの内面適合は期待できるのかどうか?
このあたりは技工士さんとのやりとりがまだまだ必要そうです
今回の一件で検討する事柄としては
メタル素材での修復物のセメント材料の再検討。
具体的には、充填材を含めて浮き上がりのしにくい再現性のよい材料を検討する必要がありそうです。
もう一点は、ジルコニアの適合を見直す事。
現時点ではセメントスペースをある程度容認して取り組んでおりましたが、接着しない事を重要視するなら
内面適合はメタル並みの追究が必要になってきます。
こんな時に思い出す論文は昭和57年の展望の座談でシリーズ企画
クラウンの周辺3 セメンテーションをめぐってです。
鋳造試験体を金型実験とセメント材料の検討。
病理学的な考察など現在見てもかなり参考になる論文です。
前回の黒田勉強会での拝読論文でした。
2度目の論文抄読だったのですが、1度目に気付かなかった事が少々。
試験体とセメント材料の浮き上がりの検討は、決してスムースフィットを目指すという事柄では無いと言う事。
この様相をみて、眼前の診療室でのフィットをみても、この4種類かどうかは分からない。
このフィットはこの論文を書いた先生とラボのもの。
自分でやらなければ、同じフィットを得る事はできないと言う事を学びました。
暫くこのあたりを検討してみようと思っています。