2013/07/24 一本の歯の価値
昨日 月一回の勉強会「黒田勉強会」に参加して参りました。
2症例のミニケースはMTMをテーマにしたものと
ブロックでの歯周治療と経過、術後考察についてディスカッションが成されました。
欠損歯列の問題点、治療計画と10年後の術後経過を全員で予想する
じっくり1症例
下顎の無歯顎を守る為にどのようなことが出来るかを考える訳ですが、歯周疾患
でアタッチメントロスがある歯をどのように取り扱うかが難しく感じました。
論文抄読 クインテッセンス 1989 vol8 no6
多数歯欠如症例における局部義歯の支台装置の選択 著 法花堂治 岸 正孝 関根 弘
8種類の歯列内配置において垂直、水平方向に荷重がかかったさい
支台装置の力量伝達様式の違いによってどのような力が支台歯にかかるかが論じられていました。
支台装置はコーヌスとボールアンカーの2種類で比較されておりました。
論文中興味がでたのは、明らかに力の負担がでる1支台で1顎を賄わないとならないケース
大学では根面板(もしくはすこし高さのあるコーピングもしくはマグネット)
レストなしワイヤークラスプ と教わりました。
提示症例は前医の先生から「左下3番だけでは賄えないので、ここを根面板にして周りに4カ所ミニインプラントをいれて義歯を乗せましょう」といわれていたようです。
たしかにインプラントが入れば義歯は動かずしっかりと噛めると思います。
勉強の仕方や方向がちがっていたら、私もそのような説明をしていたかもしれません。
しかしそんな症例に、私はインプラントをつかわず一本の支台歯のコーヌスクローネ義歯を装着しました。
黒田先生の一本の支台のコーヌスクローネ義歯が長期経過して、
この症例も4年近く経過しているのは未だに謎ですが・・・
写真左は初診時に入っていた内冠、右下写真は新たに装着した内冠。
高さや向きにも配慮してあります。セット後舌側に床の圧痕がついてきているのは、論文の通りに遠心方向
に傾斜している為と思われます。
粘膜被圧変位量を改善し、支台歯がその回転角内に収まっている
支台歯の高さは剛節伝達様式では、その高低は理論的には関係ない。
しかし実際は内外冠のわずかな遊びを考慮しやや低い方が良い。
清掃性に考慮されている。
咬合関係は片側性咬合均衡をねらう
等が複合されて問題が起こらないのではないかと考えてます。
ともあれこの患者さんはいまのところインプラントを入れないでしっかり噛めて経過しているというのは
大事な事におもいます。
by nooji1 | 2013-07-24 13:26