2017/04/18 黒田勉強会
月に一度の院外勉強会「黒田勉強会」に参加して参りました。
本日はミニケース2題

高齢と言う理由、歯列の連続性がなくなってしまったという理由からも処置方針は妥当だったのではないでしょうか
出題されたK先生は自院で初めて手がけたコーヌスの症例と言うことでしたが、大変緻密な秀逸な補綴処置だったように
思います。

症例。 小さい範囲ながら話題性のある症例報告かと思います。一般的には前後の歯を削らないという理由でインプラント
になる症例でしょうか? 30歳代と若年者の症例ですしね。会ではこの6番が喪失した後の選択肢についても議論が行われました。自分ならどのようにするか?
日常臨床でかなり直面するようなシーンだとは思う為、改めて考えさせられました。
インレー脱離放置からの失活→破折という受療パターンからインプラントが第一選択に来ない所は異論が無いところです。
近心根のみの修復については破折の因果がすでに見えているので、その辺をどのように考慮するかが難しい様に思います。しかし
この状態で5年間維持している意義はある様にもおもいます。
智歯をつかった移植歯恐らく7を失う可能性を考慮して2手先にとっておくでしょうし、そうすると1本義歯という選択肢に
落ち着くのも理解できます。 しかし7番は遠心に不潔域をすでにかかえているので、この上近心頬舌と歯冠囲繞型のクラスプ
は7にとっては不利になるとも思います。ではブリッジであればどうか?大半のエナメル質の切削を伴うでしょうし、そのマイナスを補うメリットをもたらそうと思うと、かなりの高精度での補綴が要求される。頬舌側は開放されますが、連続性を失った7番近心と5番遠心部は果たして義歯より清掃しやすいのか? 同じ理由ではインプラントも清掃しやすいか疑問な所かと思います。小さい範囲なんですが、考え出すと切りが無い。

石原先生というと「咬合の見解の種々相」という3部の論文が印象深く、東京医科歯科の一時期の咬合学研究の発端となった人物
じっくり一症例はEichnerB4の上顎前歯が弱体化しつつある症例
経過の中で残念ながら前後のすれ違い症例に移行してしまったようですが、クラスプ義歯で問題が出なかったと言うこと。すれ違い咬合になっても問題が出ない症例もある。印象的です。
論文抄読は
「すれちがい咬合一歩手前への対応 (座談)」 歯界展望 1988.6 黒田昌彦 藤村三良 嶋谷豊
約30年ほども前の座談です。当時卒業4年目だった嶋谷先生がすれ違い一歩手前の症例に施した処置に対して
議論をしていくというもの。30年前の座談でも未だに欠損歯列の取り扱い方や、keytooth のへの配慮
義歯設計にいたるテンポラリーの煮詰めかたなど大変参考になる論文でした。
by nooji1 | 2017-04-21 14:58 | Trackback | Comments(0)