こんにちはのじでんです。日常の臨床の中でも観察→原因に対する仮説を立てて物事を考えて→処置をすすめる
という一連の流れを見直そうと言うことで衛生士と取り組んでいます。日常臨床ではとかく、拡大して観察する
という事を疎かにしがちなためです。
衛生士と抜去歯牙を使って根面の性状と、インスツルメンテーションによる処理を考察することにしました。
重度歯周疾患で自然脱落してしまった方の歯牙表面を観察すると、様々な凹凸があります。正常ではない部分が
多数あります。 セメント質の剥落が認められ、根面カリエスがあります。
自然脱落前の左上中切歯ですが、根面カリエスはポケット内ではなく歯肉退縮後に縁上で起こっていることがわかります。
セメント質の剥落や残存している姿をみると少なくとも3層は見えている事がわかります。
別のアングルから。一般的に根面への毒素の侵入する距離はほとんどなく、水で洗うだけで落ちると言われています。根面の性状が滑沢であってもプラークの付着の具合は変わらない。その為衛生士がポケット部位に「長い上皮性付着」を狙おうとする場合に古来から言われているスケーリングルートプレーニングのように根面に侵入した毒素を取り去るまでプレーニングするわけではない事がわかります。しかし悪い部分を取り去ると言うニュアンスではなくても、根面はある程度平坦な方が良いと思います。
わずかですが、大学院時代に経験していた。培養細胞の上皮は人工物に強固に付着していました。
写真はアクリル製の培養シャーレのなかで底面に強固に付着する歯肉線維芽細胞です。上皮細胞も同様に滑沢なシャーレの表面にかなり強くくっついていました。上皮細胞にとってくっつく表面がある程度平坦であった方がよいのでしょう。 創傷が治癒する際にも遊走する上皮は平坦な皮下組織の上の方が早く進むのも同じ理由だと思います。手用のキュレットや超音波スケーラーで歯根の表面を処理した際にどのようになるか、平坦にする為にはどのようにするべきかを衛生士に見てもらおうと思います。