今年一年間、黒岩先生の論文を抄読し、取り組みの足跡をたどっていきました。本日黒岩先生を囲む特別講演会として黒岩先生にお会いする事ができました。
戦後の日本は高度成長による経済発展にともない、ショ糖の消費がふえていき、昭和50年代には国内に虫歯が氾濫している状態でした.当時横浜臨床座談会は虫歯研究会という会が存在し、虫歯予防の活動をされておられたとの事でした.会の取り組みとは別に同時代の歯科医療には総義歯や欠損補綴はニーズとして商業誌面をにぎわしておりました。
昭和50年1月に歯界展望に掲載された「近代歯科医学への疑問」、9年後の59年9月に掲載された「続 近代歯科医学への疑問」には歯科医学の進歩への疑問、歯疾の特殊性、当時厚生省が発表した「歯の平均寿命」への疑問、生理学的寿命、生態学的寿命など、当時の歯科医療への疑問と、端的な対処療法への警鐘、本来歯科のあるべき姿などが書かれておられ、現在の商業誌にはない文章と臨床への哲学を感じるすばらしい論文でした.
また臨床哲学というマクロな話とは別に、歯面の微細構造のペーストブラッシング、ノンペーストブラッシングによる変化、歯ブラシ圧における緻密な考察など、かなりミクロなレベルでも緻密な考察をされた論文も多数あります
このあたりは、今年一年ののじでんの取り組みの一部がかなり影響をうけております。
現在の歯科臨床は、当時と比べ、虫歯もすくなくなり、歯周病もコントロールがある程度可能となりました。 欠損歯列(歯がない状態)も今後少なくなってくる状況でも
歯科業界にも、一般的なニーズにもインプラントやジルコニアといったものが多くでてくる矛盾を、論文がでた当時の状況に似ていると見てしまいます。必要なものではありますが、原因の除去については現在も30年前も変わらないと思いました.

2次会の写真はのじでんの宝物となりました。また後日には直々に手紙を勉強会のメンバー全員にいただきました。 黒岩先生本当にありがとうございました。