発達した下あごの形態や、歯ぎしりの状態から

初診から「危ないなー」と思っていた左上の7番(写真右端の歯)
外傷所見も出ているし、根の形もシンプルな形をしていて
根管拡大も大きくされている
わかりやすく説明しようとしても
「ケアしないと折れてしまうかもしれませんよ」
と言ってみてもなかなか来院者さんとしては実感のできないところ
日中のかみしめに対するケアも
夜間のナイトガードもおすすめにはお答えいただけませんでした。
こういう時歯医者の先生は、色々と悩みます。
再治療をしたほうが効果があるのか?
手をつける事が破折を助長させるので
手をつけずに、力への配慮に徹するべきなのか?
歯を失う3大要因の一つ「歯根破折」
自分の力と上下の歯で自分の歯自体を割ってしまう現象です。
救歯会の疫学データでは
救歯会の先生がレントゲンの所見で破折の予兆が見えて
「歯根破折かな?」と思った症例の75パーセントが
2年以内に歯根破折が確定(歯がぱかっと折れてしまい、抜かざるをえなくなる)するそうです。

半年後に撮影した時、半年前にはあった歯槽硬線が消失(破折を疑わせる所見)

違和感で来院時の写真、こういうレントゲン所見になったら破折の予兆の典型像です。
この後外科処置による確定診断で破折線が確認され、確定診断となりました。
虫歯や歯周病の急性発作と違って、なにか症状があった時は手遅れな事が多い
「歯根破折」
予期できていたのに・・・という後悔はどうしてもありますが
ここからは破折をこれ以上広げないために努力をしていかなくてはなりません。
▲ by nooji1 | 2016-01-30 22:17 | Trackback | Comments(0)